二酸化炭素の増加の中、20世紀半ばは寒冷化していた
科学的知見...
気候を影響する強制力は多数あります(成層圏エアロゾルや太陽活動の変動など)。これらの強制力を全て考慮すると、20世紀半ばも含み、気温と良い相関が得られます。しかし、ここ35年間は二酸化炭素の影響が最も高いです。
「戦後の産業化のおかげで1945年から二酸化炭素排出量は顕著に上昇したが、1975年まで地球は寒冷期間を経験した。1945年までの32年間は急速な気温上昇を経験しながら二酸化炭素の上昇は比較的浅かった。しかし、それ以降の33年間は二酸化炭素の劇的な上昇にもかかわらず、地球の気温はわずかな寒冷化をした。IPCCはそれでも、20世紀の温暖化は人為起源と豪語した。」(James Schlesinger)
図1では二酸化炭素と地球気温の変動を比較します。1940~1970年の間、二酸化炭素と気温は逆相関します。この期間が30年間なだけあって、ENSOや太陽活動の周期などの短期的影響に責任を負わせる事はできません。二酸化炭素が温暖化に起因するのならば、何故その期間は温暖化をしていないのか?
図1:緑の線は南極ロードームの氷コアから得たCO2データ(CDIAC)。青の線がマウナロアで計測されたCO2濃度(NOAA)。赤線が気温偏差(GISS)。
気温に影響する因子は全体的に見るのが原則です。気候のエネルギーフラックスに影響する強制力は多々存在します。成層圏エアロゾル(例:火山噴火)は太陽光を宇宙へと反射させ、正味の寒冷化効果を齎します。太陽活動が上昇すると、正味のエネルギーフラックスも上昇します。図2に、主な強制力を表します。
図2:地球気候の強制力、1880年の値との差(NASA GISS)。
強制力を全て結合すると、正味の強制力と地球の気温は良い相関が得られます。もちろんENSOなどの内部変動性も存在した上での結論です。気温とのデータで一番の不一致があるのは1940年あたりだが、このバイアスは海面水温のデータを取っていたアメリカの船によるものだと考えられています。
図3:正味強制力(青線、NASA GISS)。地球の気温偏差(赤線、GISS Temp)。
これらの証拠を見極めると、気候は一つの要因がある訳ではありません。多数の根源から影響され、過去35年間は二酸化炭素の影響が強いと分かります。
20世紀半ばからの温室効果による温暖化の証拠
20世紀半ばの寒冷化をより理解するために、Impact of Global brightening and dimming on global warming (Wild et al 2007)という研究を検証してみましょう。この論文では、地表に達する日光の傾向を見ました。直達日射量は様々な因子に影響されるが、エアロゾルの量が一番の貢献者です。そして日射量はもちろん地表の気温に影響します。地球の暗化と明化を検証する事で、20世紀半ばからの一時寒冷化がある程度説明できます。
まず、1958年からの表面の放射量の測定を見ると、「地球の暗化」が1990年までの間にあると観察できます。その後、暗化は弱まり、1985~2002年の間には軽い明化期間に入ります。暗化期間では温暖化が適度だが、ここ20年の明化期間では温暖化が迅速です。
図4:地球の陸表の気温変動(Wild et al 2007)。
地球の暗化と明化は温暖化の傾向にどれだけ貢献するのでしょうか。この効果を解きほぐすため、Wildは毎日の温度周期を見ました。日射量は毎日の最低気温よりも最高気温に影響します。1958~1985年の暗化期間では、昼間の最高気温が低下しています。その上、この同じ期間で夜の最低気温が上昇していました。つまり、地球の暗化により昼間は寒冷化していたが、温室効果の上昇により夜間の温暖化が起きていたのです。
1985~2002年の昼間の温暖化傾向は明化のおかげで夜間の温暖化傾向に追いつきそうなところにあります。この結果は地表の放射量の計測と一貫してます。地球の暗化は温室効果による温暖化を1980年代までは覆い隠し、明化期間に入ると顕著な温暖化が垣間みれます。
二酸化炭素による20世紀半ばの温暖化はどこへ行ったのか?大気汚染による地球暗化が温室効果の温暖化を隠していました。二酸化炭素の効果は気温の記録に現れていなくても、働いていました。
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Taminoさんが北/南半球の20世紀気温の比較をします(Hemispheres)。
Translation by apeescape, . View original English version.
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